〜客室乗務員が教える、ビジネスコミュニケーションのコツ〜
2017年3月26日からエミレーツ航空(本社:アラブ首長国連邦・ドバイ、以下、エミレーツ)は、エアバスA380を成田路線へ導入しました。
エアバスA380とは、2階建の超大型旅客機。別名:スーパージャンボとも呼ばれ、完全個室式のファーストクラスからエコノミークラスまで幅広く対応し、席数は合計489席を数えます。
4月の新年度にあたり、エミレーツは、日本人客室乗務員ならではの『ビジネスコミュニケーションスキル』を初公開しました。
そのコミュニケーションスキルを、前編<その1>・後編<その2>と2回に分け、ご紹介していきます。
皆さんのお仕事の中や暮らしの中で接する人たちと良好な関係を構築させるヒントがあるかもしれません。
4月から新入社員の人も、新たな組織編成や上司が変わったり、転勤や昇進、移動などで職場環境が変わった人も多いでしょう。
エミレーツの客室乗務員は、フライト毎に常に新しいチームが編成され、多国籍で異文化のバックグラウンドをもつ同僚と日々働いています。
職場の人間関係を良好に保つことは、仕事をする上で非常に大切。
それでは、エミレーツ客室乗務員のコミュニケーションスキルを見ていきましょう。
クレーム対応 初動の合言葉は “ LEAP(リ―プ)”
エミレーツの客室乗務員は、世界150都市以上のフライトに乗務し、世界中のお客様を相手に日々接遇しています。だからこそ、お客様からの要望やクレームも千差万別。そんなクルーのほとんどがどんな状況でも活用できるという、エミレーツのクルーが独自に見出した、言わばエミレーツ版トラブル対応の奥義 “LEAP”(リープ)。
接客に限らず、仕事の取引先やお客様からのクレームやお叱りを受けた時の初動として、合言葉 “LEAP”を覚えておきましょう。
L
Listen(傾聴する)
相手の言い分をよく聴く
まずは、しっかりと相手の要望やクレームを聴くこと。真摯な姿勢で相手の問題理解に努めようとしていることを示しましょう。
E
Emphathize(共感する)
相手の気持ちに寄り添い、心情理解とお詫びを
相手の言い分をしっかりと受け止めた後は、困っている状況に共感し心情を理解していることを示しましょう。そして、相手が不快に思っていることに対してお詫びの言葉を添えることは鉄則です。
A
Ask Open Question(お伺いする)
他にも何か質問がないか尋ねる
その他にも懸念や言い足りない事がないかをクレームを受けた方から尋ねることも大切です。相手は自分の問題を聞き入れられたことで、少し安心し落着きを取り戻すでしょう。今回直面している問題以外にも、何か不満や要望がないかを更に尋ねることで、いかなる問題も解決しようとする姿勢を示すことができ、信頼と好感度が増すことも。
P
Paraphrase(自分の言葉で言い換える)
自らの言葉で問題をきちんと理解したことを示す
お客様からの要望やクレーム内容を、自らの言葉で言い換えて伝えることも大切。きちんと理解していることを自らの言葉で示せば、お客様も少し安心されます。
“LEAP” を活用してお客様からの要望を聞き入れた後は、問題解決の為に最善を尽くすこと。
エミレーツの客室乗務員は難しい要求にも、“NO”とは言わない努力を惜しみません。「お断りせざるを得ない状況でも、“NO”ではなく違う表現を常に考えています。
例えば・・・
機内のベビーバスケットをご利用したいというお客様に対し、『お客様のお子様にはこのバスケットには大きすぎます』と言うよりも『このバスケットはお客様のお子様には小さすぎますね』と主語をお客様ではなくエミレーツのバスケットにして伝えた方が、お客様の感じ方も違います。もちろん、代替えのサービスも考えてご提案します。」(Aさん、29歳)
「魔法の言葉は、『かしこまりました。ご要望にお応えするために最善を尽くしますので、少々お待ちください』です。」(Mさん、29歳)どんなに難しい要求でも、乗務しているクルー達とお応えする術を検討し、最善を尽くします。どうしても難しいご要望には、代替え案を提示することで、問題解決に向かって努力している姿勢が相手に伝わり、大抵の場合はご納得いただけます。
続きは<その2>へ・・・
いかがでしたか?
「いつも心がけていることだな」という方、「これは参考になったよ」という方、ご一読いただいた後の感想は様々かと思います。
ちょうど新年度を迎えた今、新たな出会いに直面するもしばしば。
日頃心がけていても、今一度読み直し、一呼吸おいて、自分の行動を見つめ直す良い機会かもしれませんね。
これが正しい、これが全てだということでは決してありません。接遇を大切に考えるエミレーツのコツをどうぞご参考までに。
明日は後編<その2>をご紹介します。
記事:編集部