株式会社アイデムの人と仕事研究所 では、2018年3月卒業予定で、民間企業への就職を希望している大学4年生・大学院2年生を対象に2回にわたり調査を実施しました(6月1日実施685名、6月15日実施681名)。その調査結果をお知らせします。
応募当初よりも志望度が上がった企業はあるか
「ある」・・・・・・・・・77.3%
【上がった段階】 「面接・試験段階より前」48.1% 「面接・試験段階」47.6%
【上がった理由】
1位「採用担当者・社員の態度が良かった」
2位「思っていたよりも、社員の雰囲気が合いそう」
3位「思っていたよりも、やってみたいと思える仕事だった」
1社以上の企業に応募したことのある学生に、企業の選考を受ける中で応募当初よりも志望度が上がった企業があるかを聞いた。結果は、「ある」と回答した学生が77.3%だった。また、志望度が上がった企業が「ある」と回答した学生に、志望度が上がったのはどの段階の時だったかを聞くと、「面接・試験段階よりも前(会社説明会等も含む)」48.1%、「面接・試験段階」47.6%、「内定獲得段階」4.3%となっていた。
さらに、志望度が上がった企業が「ある」と回答した学生に、その理由を聞いた(応募当初よりも志望度が上がった企業が複数ある場合は、その中で最も志望度が高い企業について回答)。
上位には、「採用担当者や他の社員の話や態度が良かったから」48.9%、「思っていたよりも、その企業の社員の雰囲気が自分に合いそうだったから」45.8%、「思っていたよりも、自分がやってみたいと思える仕事だったから」37.6%、「思っていたよりも、その企業の文化や価値観などの雰囲気が自分に合いそうだったから」33.7%が挙がり、社員や社風に触れることで、志望度が上がることが多いようだ。
好印象な採用担当者
1位「気遣い・丁寧な対応」 2位「笑顔」 3位「親身」、最下位は「タメ口」
学生に、今までに好印象を抱いた採用担当者はどのような人物だったかを聞いた(実際に採用担当者に接したことがない者は、どのような採用担当者だったら好印象を抱くかについて回答)。最も多かったのは「気遣いや丁寧な対応をしてくれる」で51.7%だった。次いで、「笑顔が多い」49.5%、「親身になってくれる」45.7%となっている。男女別で見ると、女性は「気遣いや丁寧な対応をしてくれる」「笑顔が多い」「楽しく仕事をしている」において男性よりも回答割合が約10ポイント高くなっていた。内定獲得状況別で見ると、「内定あり」の学生は「内定なし」の学生よりも平均回答個数が多い。また、「自分のことを褒めてくれる」の回答割合が約2倍になっていた。
採用担当者の人柄や印象は、就職活動のさまざまな場面において学生が重視する項目として上位に挙がっているが、具体的には、上記のようなポイントが印象を左右しているようだ。
「オワハラ」経験の有無
「ある」11.2% 前々年から2倍超
オワハラとは:「就活終われハラスメント」を略した言葉。企業の人事担当者が、就職活動中の学生に対し、他社への就活を終わらせて(内定を断らせて)、自社への入社を決断するように強要したり、嫌がらせをしたりする行為。
就職活動を行なった(行なっている)学生に対し、「オワハラ」をされた経験があるかを聞いた。「ある」と回答した学生は全体の11.2%となり、前々年調査から倍増した。内定獲得状況別では、オワハラ経験のある学生は、「内定あり」で13.6%、「内定なし」で8.1%となった。「内定あり」に比べて少ないものの、「内定なし」でも、一定数の学生はオワハラを経験しているようだ。
育児休業等の利用意向
男性の利用意向 「育児休業」58.5% 「時短勤務」60.0% 「残業の免除」58.1%
「育児休業を取得したい」男子学生は前年から9.0ポイント増
学生に、将来的に育児のための制度(「育児休業」「時短勤務」「残業の免除」)を利用したいか聞いた。「育児休業」については、「利用したいと思う」と回答した学生が53.7%に上った。「どちらかと言えば利用したいと思う」も含めると、75.3%の学生に利用意向があった。「時短勤務」「残業の免除」も概ね同様の傾向で、7割以上の学生に利用意向がある。
男女別に見ると、各制度に対する「利用したいと思う」と「どちらかと言えば利用したいと思う」を合わせた利用意向は、女性の方が圧倒的に高く、それぞれ8割以上だった。とはいえ、男性の利用意向は前年よりも増加しており、特に「育児休業」では9.0ポイント、「時短勤務」で10.2ポイントの大幅増となった。「残業の免除」も微増となり、約6割の男性に育児諸制度に対する利用意向がある。さらに、女性に対して、各制度をパートナー(夫)に利用してほしいか聞いた。「育児休業」では58.3%、「時短勤務」では51.3%、「残業の免除」では58.8%の女性が、パートナー(夫)に制度を利用してほしいと回答した。回答割合は前年と同等か微減となり、男性に対する期待が薄れた様子もうかがえる。
その他、調査時点(6月1日・15日)での就活進捗状況
◆会社説明会参加回数
平均21.4回(前回+3.6回 前年-0.5回)
◆エントリーシート・履歴書
提出企業数 平均15.0社(前回+2.7社 前年+0.6社)
◆応募企業数
平均21.0社(前回+0.7社 前年-1.2社)
◆面接選考企業数
平均9.4社(前回+3.1社 前年+0.8社)
◆1日の活動時間
「就職活動に費やす時間」平均3.4時間(前回-1.0時間 前年-0.2時間)
「学業に費やす時間」平均3.3時間(前回+0.4時間 前年±0時間)
◆進捗感
予定よりも進んでいる・・・・・・・・・30.1%
予定通り・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27.9%
予定よりも進んでいない・・・・・・・42.0%
≪受験企業の状況≫
◆グループワーク・ディスカッションでの役割
グループワーク・ディスカッションを受けたことがある・・・・・・・・・78.5%
担うことが多い役割: 「司会・ファシリテーター」25.3% 「書記」14.0%
「タイムキーパー」10.7% 「一般のメンバー」50.0%
◆新たに企業に応募する予定
「ある」6/1時点:62.1% 6/15時点:63.8%
興味なし【業界】にも応募 6/1時点:60.9% 6/15時点:57.1%
興味なし【職種】にも応募 6/1時点:52.8% 6/15時点:46.3%
◆第一志望”以外”の企業への対応
第一志望”以外”の企業から「自社が第一志望か?」と聞かれたことが「ある」78.2%
うち、92.4%が「『第一志望(群)』だと回答した」
≪入社予定企業・内定企業・の状況≫
◆入社予定企業の従業員規模
299人以下・・・・・・・・・27.5%
300~999人・・・・・・・27.0%
3,000人以上・・・・・・・21.8%
◆内定企業からの入社意思確認
内定承諾書等の提出・・・・・・・・・54.8%
口頭での確認・・・・・・・・・・・・・・・35.7%
返答期限は「6月」が最多47.0%
◆内定企業の満足度
【満足しているもの】 1位「会社・社員の雰囲気」 2位「事業内容」 3位「採用担当者の人柄」
【物足りないもの】 1位「給与」 2位「年間休日数」 3位「勤務地」
調査概要
調査対象:2018年3月卒業予定で、民間企業への就職を希望している大学4年生・大学院2年生の男女
調査方法:インターネット調査
<6月1日時点>
調査期間:2017年6月1日~5日
有効回答:685名
<6月15日時点>
調査期間:2017年6月15日~19日
有効回答:681名
調査・分析担当者のコメント(アイデム人と仕事研究所 所長 岸川 宏氏)
6月に入り、内定を獲得した学生が急激に増えてきました(6/1時点:53.6% → 6/15時点:67.5%)。
選考のスピードが早まり、内定通知が早期化してくると、選考から内定、入社までの間において学生の「入社意欲(志望度)」を高く維持し他社採用選考への流出を防ぐことが、企業にとって重要な施策となってきます。実際に志望度が上がった理由を学生に聞くと「採用担当者の態度が良かった」「社員の雰囲気が合いそう」など、選考や入社後に関わる“人”によるところが大きくなっていました。
また、内定先のどこに満足しているかとの質問に対しても、1位「会社・社員の雰囲気」 2位「事業内容」 3位「採用担当者の人柄」と、志望度と同じく“人”に対することへ回答が多くなっています。学生の支持を集めるには、自社で働く社員の人づくりが最初のハードルとなっているようです。
給与や休日取得日数が、就活生の企業選定ポイントになっている、という分析が出ていたりもしますが、入社を決めようと考えた際に、その会社の“人”が鍵になっていることは、昔も今も変わらないようです。
それは、採用担当者だけではなく、会社全体の雰囲気や日頃より働く社員の姿も見られていることに、会社側は気づき、磨きをかけ続けることが重要な項目のひとつなのではないか、と感じさせられる調査結果でした。
企業選定のポイントは、就活生それぞれに異なるかと思いますが、こういった意見があることも参考にして、続く就職活動を頑張っていただきたいと思います。
記事:編集部