〜仕事とは? 会社とは? やる気とは?〜
複数回でご紹介してきました「社会人1年目と2年目の意識調査」
最終回(その3)となる今回は、社会人1年生と2年生が抱いている『仕事観』などに関する意識調査結果をご紹介します。
<その1『初任給や給与の使い道』はこちらから>
<その2『将来設計』はこちらから>
社会人1年生・2年生にとって仕事とは?
社会人1年生・2年生は、どのような仕事観を持っているのでしょうか。
「お金を得る手段」が6割、「自己実現」「生きがい」は1割台
全回答者(1,000名)に、自身にとって仕事とは何か、最もあてはまるものを聞いたところ、「お金を得る手段」が59.1%と6割となり、「自己実現」(13.8%)や「生きがい」(11.0%)が1割台、「社会貢献」(8.9%)が1割弱で続きました。
“仕事=お金を得る手段”と考えている人が過半数となりましたが、自己実現や生きがいを仕事に見出している人も少なくないようです。
過去の調査結果と比較してみると、2016年調査まで「お金を得る手段」は2014年57.6%→2015年55.4%→2016年49.0%と下降傾向でしたが、今回の調査では2016年調査とは一転して10.1ポイントの上昇となりました。
社会人1年生・2年生にとって良い会社とは?
「職場の人間関係が良い」が最多回答
全回答者(1,000名)に、「良い会社(職場)」だと感じるのは、どのような会社(職場)か聞いたところ、「職場の人間関係が良い」が58.1%で最も多く、次いで、「福利厚生が充実している」50.0%、「給与が高い」40.2%、「事業・経営が安定している」32.1%、「能力を高める機会がある(教育がしっかりしているなど)」31.7%が続きました。
「職場の人間関係が良い」は6割弱が回答しており、“人間関係が良い職場=良い会社”だと感じる社会人1年生・2年生が多いようです。
男女別にみると、「職場の人間関係が良い」(男性49.4%、女性66.8%)や「福利厚生が充実している」(男性43.2%、女性56.8%)、「残業前提の働き方でない」(男性24.2%、女性34.6%)では男性よりも女性のほうが高くなっており、女性はこれらの要素をより重視していることがわかりました。
「給与が高いことは良い会社の条件」
社会人2年生では4割半、1年生では3割半
上記の質問の中で、社会人2年生の回答に注目してみると、「給与が高い」では45.8%となり、社会人1年生(34.6%)よりも高くなりました。実際に1年間働いてみると、働いた成果がしっかり自身の給与に反映されることを良い会社の要素として考えるようになる人が増えるのかもしれません。
社会人1年生の3人に1人が「定年まで働きたい」と回答
社会人2年生の4人に1人が「今の会社を既に辞めたい」と回答
続いて、全回答者(1,000名)に、最初に就職する(した)会社で、どのくらいの間、働いていたいと思うか聞いたところ、「定年まで働きたい」は社会人1年生では33.0%と、社会人2年生(17.4%)より高くなり、「既に辞めたい」は社会人2年生では24.8%と、社会人1年生(8.4%)より高くなりました。
社会人2年生には、実際に働いた1年間で、就職する前に抱いていたイメージとのミスマッチを感じるようになり、辞めたいと思うようになってしまった人が少なくないのかもしれません。
社会人1年目の残業実態 「月平均」16.6時間、「繁忙期」は27.3時間
働き方改革が推し進められる中で、残業時間の上限規制について議論されていますが、実際に1年間働いた社会人2年生は、どのくらいの残業をしていたのでしょうか。
社会人2年生(500名)に、《社会人1年目の残業時間(1ヶ月あたり)》について聞いたところ、「0時間」は18.2%、「1~10時間未満」は26.8%、「10~20時間未満」は17.6%、「20~30時間未満」は12.6%、「30~40時間未満」は11.0%、「40時間以上」は13.8%となりました。
平均残業時間は全体で16.6時間、男性では21.0時間、女性では12.2時間でした。
同様に、《繁忙期(残業時間が1番多かった月)の残業時間》についても聞いたところ、「0時間」は13.4%、「1~10時間未満」は23.0%、「10~20時間未満」は11.2%、「20~30時間未満」は10.4%、「30~40時間未満」は10.8%、「40時間以上」は31.2%となりました。
およそ3人に1人は、繁忙期に40時間以上の残業をしていたようです。繁忙期の平均残業時間は全体で27.3時間、男性では34.8時間、女性では19.8時間でした。
社会人2年生が考える残業の「許容限界」は23.5時間、「望ましい水準」は11.7時間、
「健康被害があると感じる水準」は46.8時間
社会人2年生は、残業時間について、どのような意識を持っているのでしょうか。
社会人2年生(500名)に、《長時間労働で健康を害すると思う残業時間》について聞いたところ、平均46.8時間となり、《自身が許容できる残業時間の上限》では平均23.5時間、《希望する残業時間》では平均11.7時間となりました。
社会人2年生が1年間働いてみて感じた、残業時間の“望ましい”水準は12時間程度、“許容限界”の水準は24時間程度、“健康被害があると感じる”水準は47時間程度であるようです。
また、残業時間の実態と合わせてみると、社会人1年目の平均残業時間(16.6時間)は、望ましい水準(11.7時間)を上まわっており、繁忙期の平均残業時間(27.3時間)は“許容限界”の水準(23.5時間)を上まわっていることがわかりました。
やる気がアップするのは「昇給・ボーナスアップしたとき」「自分の成長や仕事の成果を実感できたとき」が9割
全回答者(1,000名)に、仕事のやる気がアップするシーンについて聞いたところ、「昇給・ボーナスアップしたとき」が93.2%で最も多く、次いで、「仕事の成果が実感できたとき(感謝される・役に立つなど)」89.3%、「自分の成長が実感できたとき」88.2%、「サポート体制が万全なとき」85.1%、「プライベートが充実しているとき」84.6%が続きました。
社会人1年生・2年生の多くは、昇給・ボーナスアップしたときや仕事の成果・自分の成長が実感できたときにやる気スイッチが入るようです。
男女別にみると、「服装(やメイク)がバッチリ決まったとき」では男性が57.2%、女性が75.4%となりました。女性は、服装などがバッチリ決まったときにもやる気スイッチが入ることがわかりました。
落ち込んでいるときに先輩に言われたらやる気に火がつくセリフ
社会人1年生・2年生にとって、先輩社会人から言われてやる気に火がつくセリフや、逆にやる気が奪われるセリフとはどのようなものなのでしょうか。
落ち込んでいるとき(仕事上で失敗したときなど)に、先輩社会人に言われたら、やる気に火がつくセリフは何か聞いたところ、「次からはこうしようか(改善策を指示)」が35.4%で最も多く、次いで、「困ったことがあったらいつでも相談して」28.7%、「頑張ったんだね、ありがとう」27.8%、「一緒に頑張ろう!」22.2%、「失敗は誰にでもあるよ」21.7%が続きました。
具体的な改善策を示してくれたり、努力を評価して感謝の気持ちを伝えてくれたりしてもらえるようなセリフを言われると、たとえ落ち込んでいてもやる気に火がつく社会人1年生・2年生が多いようです。
男女別にみると、「困ったことがあったらいつでも相談して」(男性25.2%、女性32.2%)や「頑張ったんだね、ありがとう」(男性17.6%、女性38.0%)、「これは皆の失敗だから。あんまり自分を責めないで!」(男性12.2%、女性19.2%)では女性のほうが高くなり、「責任は俺が持つよ」(男性25.8%、女性17.2%)では男性のほうが高くなりました。
困ったときに助けになってくれるセリフや努力を評価して感謝の気持ちを伝えてくれるセリフでは女性のほうが、“失敗の責任はとるから”とフォローしてくれるようなセリフでは男性のほうが、やる気に火がつく人が多いことがわかりました。
社会人1年生・2年生のやる気を奪うセリフ
反対に、先輩社会人に言われたら、やる気が奪われるセリフは何か聞いたところ、「この仕事向いてないんじゃない?」が38.9%で最も多く、次いで、「やる気ある?」35.4%、「ゆとり世代だなぁ」33.4%、「そんなことは常識でしょ」24.0%、「私が若いころは○○だったのに」22.9%が続きました。
仕事の適性や仕事のやる気を否定されるようなセリフを言われると、やる気が奪われてしまう社会人1年生・2年生が多いようです。
男女別にみると、「この仕事向いてないんじゃない?」(男性34.4%、女性43.4%)や「ゆとり世代だなぁ」(男性28.8%、女性38.0%)、「女/男だからしょうがないね」(男性6.6%、女性17.2%)では女性のほうが高くなり、「言い訳はするな!」(男性18.0%、女性10.4%)では男性のほうが高くなりました。
「遅刻・欠勤連絡をメールやLINEでする」は否定派が6割強
業務中のスマホの活用の仕方について、社会人1年生・2年生はどのような感覚を持っているのでしょうか。
全回答者(1,000名)に聞いたところ、《メモをスマホやタブレットでとる》では「アリ(肯定派)」54.6%、「ナシ(否定派)」45.4%、《腕時計をしない(時間はケータイで確認)》では「アリ」52.7%、「ナシ」47.3%、《遅刻・欠勤連絡をメールやLINEでする》では「アリ」36.8%、「ナシ」63.2%となりました。
業務中のスマホ活用のルールは会社によって異なるものの、社会人1年生・2年生の考えとしては、スマホなどでメモをとることや腕時計をしないことについては肯定派が多数となり、遅刻・欠勤連絡をメールやLINEですることについては否定派が多数となっているようです。
<調査概要>
この春から働き始めた、または、就職してから1年経つ20~29歳の男女に対し、2017年3月27日~4月5日の10日間、「社会人1年目と2年目の意識調査」をソニー生命保険株式会社 http://www.sonylife.co.jp はインターネットリサーチで実施し、1,000名の有効サンプルを集計しました。(調査協力会社:ネットエイジア株式会社)
仕事に対する取り組み方、考え方は人それぞれですが、社会人1年生・2年生の考え方は、所定時間内はしっかり仕事をして有休はしっかりとるというオンとオフの考え方がしっかり区切られている人が多いようです。
ご自身の会社でご自身の立場で、この調査結果を参考にできる点は取り入れるなどして、仕事仲間と接してみてはいかがでしょうか。
これからの世代を担っていく若い力が、継続して職場で力を発揮できる環境づくりも時代の流れとともに考えていく必要があると感じました。
記事:編集部